定食がおいしい保健室

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「朝ごはんは?」

俯いたまま先生の問いへ首を横に振る。もうずっと朝ごはんは食べてない、給食も…。全部しんどい、保健室の白いカーテンも暗い。

「…どれがいい?」

先生が唐突に見せてきたのはメニュー表だった。噂通りちょっと変わった人だ…

「…食欲、ない」
「いいから〜」

お刺身定食、ラーメン定食……文字が滲む。だって…どうせ何も美味しく感じない。適当に指さすと、先生は奥から定食のぬいぐるみ?を2つ持ってきて、唐揚げの方を私に手渡した。

「私はこれ♪そして…こうだ!」

先生がレバニラ定食のぬいぐるみを抱きしめる。もう考えるのをやめ、真似してみた。

…え?揚げたての唐揚げの食感、お味噌汁のいい香り…なんか、ほっとする…

「これねぇ、ギュ〜ってすると味がするの。もし、少しでも食欲が出たなら給食も保健室でどう?今日は…」

献立表を見て「お、唐揚げ〜」と微笑む先生の白衣が少し明るい。
その他
公開:25/02/13 19:00
更新:25/02/16 04:23
研究室ライブ

ネモフィラ(花笑みの旅人)( 気の向くまま )

作品を開いてくださりありがとうございました~。
もし気が向いたら、また遊びに来てください♪

 

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