願い
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電車で私の隣に座っていた綺麗なスーツの女性が、カバンの中から、おもむろに大学ノートとペンを取り出した。何となく横目で見ていると、女性が開いた大学ノートには、びっしり『赤ちゃん欲しい』という文字が書き込まれていた。女性は最後のページ、当然そこにもその文字はびっしり書き込まれていたが、そこを開き、端っこに、『赤ちゃん欲しい』とペンで書き込んで、ノートを閉じた。女性はふっとため息をつき、スマホを取り出した。待ち受け画面は、赤ん坊の写真だった。おそらくこの赤ん坊は、女性の子ではないのだろう。
ホラー
公開:25/08/05 18:52
短い読み物を書いています。その他の短編→ https://tomokotomariko.hatenablog.com/
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