トンボ

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 夏のある日、外回りの途中、休憩に公園に立ち寄った。ベンチでコーヒーを飲んでいたら、夏休みらしいガキが一人、やってきて、俺の目の前で、人差し指をくるくる回し始めた。「俺はトンボじゃねえぞ」俺が言うと、ガキは、「前世はトンボだったろう」と言った。その瞬間、背中に鋭い痛みと痺れが走った。それで俺は、遠い昔、背中の翅を人間にむしり取られたことを思い出した。
ホラー
公開:25/08/04 19:58

六井象

短い読み物を書いています。その他の短編→ https://tomokotomariko.hatenablog.com/

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