花と刃物

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真は言う。「俺は人を殴ったことはない。」

過保護に育ってきた真は、争いを嫌う。
優しいから、主張の強い者には逆らえない。
だから、人の顔色を見て、相手の機嫌を取ることに長けている。

愛子は言う。「私を怒らせたら、刺すよ。」

見た目は可愛らしくて、小柄な愛子は小さい頃から、いじめの対象だった。
だから、自分の身は自分で守ってきた。
自分を守る為なら、誰でも利用することに長けている。

刃物は扱いを間違えると危険だ。

真は言う。「あなたを守る為なら、俺は人を傷つける。」

愛子は言う。「あなたが傷つくのは、私も見てて辛いわ。」

花は美しく、見る者を魅了する。
でも実はしたたか。
虫に花粉を運ばせて、子孫繁栄を図る。

刃物は人を守るためなら、使う事も正義になる。

パートナーとは、互いに足りないものを補いあう関係。

世の中の全ての関係性はそう出来ている。
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公開:25/08/04 17:00

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