無ダムの枯渇

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「貯水率は10%を下回り生活にも影響が…」TVは猛暑によるダム渇水を報じている。
「こちらも深刻です。無ダムの無駄も枯渇しています」
効率化、生産性への意識が常態化した現代、無駄の枯渇を報じるTV画面には空になった無ダムが映し出された。
「雨同様ニ、無駄を許容する何かが待たれていマス」いつの間にかAI音声に変わっている。
TVを消した。これ以上観ても時間の無駄だ。
漫画に手を伸ばす。…無駄なことはやめて資格試験の勉強をしなくては。
でもせっかくの休日だし映画でも観に行きたいところだ。あの話題作の上映時間を検索する。
…いや、無駄な時間を過ごすことになるか。身体を鍛えた方が意味があるんじゃないか。
「いっそ仕事でもするか…」
その時インターホンが鳴った。実家からの小包だった。
品名の所には『無駄』と記されてある。
開けても無駄だと思ったが思い切って開けた。

「…やっぱり遊びに行こうかな」
SF
公開:25/08/06 11:28

吉田図工( 日本 )

まずは自分が楽しむこと。

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