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知らない街にある広い部屋に引っ越した。
掛け時計が欲しくなり、商店街へ。
ほとんどシャッターがしまっているけれど、時計屋はまだ商売を続けているようだ。
薄暗い店に入ってゆくと、初老の店員が現れ、声をかけてきた。
「お客さま。よろしければ今日入荷したばかりの魚時計をご覧になりませんか」
「魚時計、ですか?」
「ええ、こちらになります」
そう言いながら店員は、箱から厚みのある丸い盤を取り出した。
私は息を飲んで確かめた。
「まさか……本物の魚が入っているんですか?」
「さようでございます」
店員の説明によれば、よく訓練した魚が定時ごとに列を作り、時計の針代わりをするそうだ。ただし、秒や分ごとの動作はできないらしい。
夢破れて田舎に移り住んだ私は、細かい時間を気にする必要がなかったから、すぐ購入を決めた。
新しい時計は、私に再起への勇気を与えてくれるかのようにいきいきしている。
掛け時計が欲しくなり、商店街へ。
ほとんどシャッターがしまっているけれど、時計屋はまだ商売を続けているようだ。
薄暗い店に入ってゆくと、初老の店員が現れ、声をかけてきた。
「お客さま。よろしければ今日入荷したばかりの魚時計をご覧になりませんか」
「魚時計、ですか?」
「ええ、こちらになります」
そう言いながら店員は、箱から厚みのある丸い盤を取り出した。
私は息を飲んで確かめた。
「まさか……本物の魚が入っているんですか?」
「さようでございます」
店員の説明によれば、よく訓練した魚が定時ごとに列を作り、時計の針代わりをするそうだ。ただし、秒や分ごとの動作はできないらしい。
夢破れて田舎に移り住んだ私は、細かい時間を気にする必要がなかったから、すぐ購入を決めた。
新しい時計は、私に再起への勇気を与えてくれるかのようにいきいきしている。
その他
公開:25/07/31 14:16
更新:25/07/31 14:53
更新:25/07/31 14:53
☆やコメントありがとうございます✨
作品のイラストはibisPaintを使っています。
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