AIをこめて花束を

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「うーん、あまりいい男じゃないわね」
AIに私の情報を入力し、理想の男性像を生成してもらった。
⋯⋯背は高い?
でも髭モジャはないわ。
丸眼鏡で、体型もぽっちゃり。
「これのどこが、私の理想像なの!?」
⋯⋯でも、目は優しそう?
イケメンばかりと付き合っては分かれてきた私にとって、この誠実そうな男こそ理想の男性なのかもしれない⋯⋯。

週末の午後──。
駅に向かう一本道を歩いていると、向こうから大きな男がやってきた。
「嘘、信じられない!?」
それは、AIが生成した男にそっくりだった。
私は男に声をかけようか迷った。
でも、なんて説明する?
信じられないかもしれませんが、あなたはAIが生成した理想の男なんです!
とでも言うの⋯⋯?
ああ、どんどん近づいてくる。
立ち止まっている私を、不審な眼で見てるわ!

「あのー、信じられないかもしれませんが⋯⋯⋯」
男は、優しい声で話しかけてきた──。
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公開:25/07/31 13:39
更新:25/07/31 14:34

渋谷獏( 東京 )

(੭∴ω∴)੭ 渋谷獏(しぶたに・ばく)と申します。 小説・漫画・写真・画集などを制作し、Amazonで電子書籍として販売しています。ショートショートマガジン『ベリショーズ』の編集とデザイン担当。
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