友だち

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 ある昼下がり、墓地の真ん中に一人の少年がいる。「おにごっこする人この指とまれ!」少年は人差し指を立てた右手を挙げる。ずず……ずず……。少年の四方から音がする。墓石たちが、少年のところに集まり始めたのだ。「相変わらず動きが遅いな」と少年は思う。「墓石とのおにごっこはやっぱり楽しくないや」と少年は思っているが、今の少年には、墓石しか友だちがいない。
ホラー
公開:25/07/30 17:36

六井象

短い読み物を書いています。その他の短編→ https://tomokotomariko.hatenablog.com/

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