妊娠ラブドール

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声を上げられない。痛みも感じない。子宮だけが熱い。
わたしは、買われたラブドール。感情も心も必要とされない。

なのに彼は髪を撫でて囁いた。「君は運命の人だよ」
そして微笑んだまま脚を開き、膣の奥まで押し込まれる。
拒めない。逃げられない。

抱かれる度に奥が熱くなり、ある日腹の中で何かが蠢く──
腹が膨らみ、子宮に命が宿った。

今日、わたしは旦那様と結婚する。
結婚式場の椅子は空っぽ。祝福の拍手など聞こえない。

彼は祭壇の前で白い花束を抱えて、まっすぐに微笑む。
ドレスの下、お腹で胎児がうごめいて逃げ道を奪う。

「大丈夫。君ならきっと綺麗な母親になれるよ」
怖い。お願い、そんな風に優しくしないで──
いっそ壊されればよかった。

彼の手が指輪をわたしの指にはめる。彼の『所有物』になる瞬間。
祝福に包まれて、腹の奥で赤ん坊が笑った気がした。

わたしは、顔を引きつらせながら微笑んだ。
ホラー
公開:25/07/29 21:59
更新:25/07/30 06:32
妊娠

広辞苑

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