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私は曲がったことが嫌いだった。
正義の道をまっすぐに歩き続けたい。その気持ちは、子供のころから一貫していた。三つ子の魂百までというやつだ。
だが、ある日の夕方、友人と二人で橋を歩いていたときに視界がぼやけた。沈みかけていた太陽が歪み、風もないのに海がうねる。
いままで糸を引くように真っすぐだった茜雲は、まるで釣り上げられた太刀魚のように痙攣する。
全てが変わってしまった。世界は曲がりつつある。それも悪い方向に。
これは悪魔だ。悪魔の所業に間違いない。
私は両手で頬を挟むと、地上を神の御心に戻すために、正義の道を示すために、思いっきり叫び声をあげた。
だが、私の声は歪んだ空気に取り込まれ、歪んだまま、歪んだ世界に吸い込まれていく。
この世を救うすべは、もう、どこにもない。たぶん、きっと。
ち
正義の道をまっすぐに歩き続けたい。その気持ちは、子供のころから一貫していた。三つ子の魂百までというやつだ。
だが、ある日の夕方、友人と二人で橋を歩いていたときに視界がぼやけた。沈みかけていた太陽が歪み、風もないのに海がうねる。
いままで糸を引くように真っすぐだった茜雲は、まるで釣り上げられた太刀魚のように痙攣する。
全てが変わってしまった。世界は曲がりつつある。それも悪い方向に。
これは悪魔だ。悪魔の所業に間違いない。
私は両手で頬を挟むと、地上を神の御心に戻すために、正義の道を示すために、思いっきり叫び声をあげた。
だが、私の声は歪んだ空気に取り込まれ、歪んだまま、歪んだ世界に吸い込まれていく。
この世を救うすべは、もう、どこにもない。たぶん、きっと。
ち
その他
公開:25/08/01 22:21
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