名画でショート069『乾草車』(ヒエロニムス・ボス)

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人間は原罪を持って生まれる。だから、どんなに現世で頑張ろうとも、結局は地獄に落とされる。偉い人が言っているから、間違いない。
それならば、現世では精一杯楽しもう。取れたての大きな魚を運び、これ以上ないほどの大きな肉を焼き上げる。
乾草車の上では、男が楽器を奏で、女が音楽に合わせて歌い、さらにその背後では男女が新しい愛をはぐくむ。
不安な未来は占いとワインと蓄財で紛らわす。
この世の楽しめないひとたちは、わらでも掴もうと、乾草車の回りに集まる。中には奪い取るために犯罪をするものもいる。
現世を十分に楽しみ、人生を終えると、粛々と地獄に向かう。
だが、よくよく周りを見ると、妙に人の数が減っている。減ったのは天国に行ったのか、それとも現世に再生したのか。
だから地獄に落とされることを心配することはない。
この絵をそう読み取るのも自由なはず。
自由こそ、人生を楽しむ、大切なピースなのだから。
その他
公開:25/07/25 22:48

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