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窓辺を射す陽が、季節の終わりを告げるように
床をそっと染めていた。まっすぐで、少し寂しい。
左手の薬指には、色褪せたおもちゃの指輪。
あの夏、駄菓子屋で私達がかけたお揃いの魔法。
──指輪を嵌めれば、願いは叶う。
「⋯⋯来たよ」
白いワンピースの裾を風が優しく撫でる。
昔のままの笑顔。頬には影が落ちる。
「手術、今日だね」
視線がふと私の指輪に触れる。
「それ、まだ──」
「僕の願い、まだ叶ってないよ」
「⋯⋯ばか」
視線が絡む瞬間、胸の奥の痛みが息を吹き返す。
あの笑顔が、胸を締めつける。
夏の陽を追い越して暖かく、儚く胸に残る。
名前が呼ばれて彼女は立ち上がる。
私は動けず、背中を見つめる。
向日葵の種。ポケットの奥に手を滑らせ、指先で確かめた。
彼女が庭に植えたいと願ったやつ。
私はこの種を、太陽へ向けて植え続ける。
君と過ごした夏を、もう一度あの庭に咲かせたい。
床をそっと染めていた。まっすぐで、少し寂しい。
左手の薬指には、色褪せたおもちゃの指輪。
あの夏、駄菓子屋で私達がかけたお揃いの魔法。
──指輪を嵌めれば、願いは叶う。
「⋯⋯来たよ」
白いワンピースの裾を風が優しく撫でる。
昔のままの笑顔。頬には影が落ちる。
「手術、今日だね」
視線がふと私の指輪に触れる。
「それ、まだ──」
「僕の願い、まだ叶ってないよ」
「⋯⋯ばか」
視線が絡む瞬間、胸の奥の痛みが息を吹き返す。
あの笑顔が、胸を締めつける。
夏の陽を追い越して暖かく、儚く胸に残る。
名前が呼ばれて彼女は立ち上がる。
私は動けず、背中を見つめる。
向日葵の種。ポケットの奥に手を滑らせ、指先で確かめた。
彼女が庭に植えたいと願ったやつ。
私はこの種を、太陽へ向けて植え続ける。
君と過ごした夏を、もう一度あの庭に咲かせたい。
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公開:25/07/28 13:57
更新:25/07/28 14:05
更新:25/07/28 14:05
様々なジャンルで楽しく小説を書いてます。偏愛大好き。
学園アイドルマスターの篠澤広が好きです。
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ピクシブでも短編小説を書いております。
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