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真夜中の町に、しとしと雨が降っている。町には君と私の二人だけ。今一人ならすごく不安だったろう。酸素がなくて、肺に雫が潜ってくるみたいなんだ。
「相合傘だね」
胸が高鳴ると同時に気恥ずかしい。でも、その相手が今度は私でよかった。昔から死にそうなくらい君の隣にいるあの子が羨ましかった……君の、少しふやけた冷たい手をぎゅっと握る。
ずっと手を繋ぎたい。そしてそれは可能になった。
君の右手は私の右手を握ったまま硬直しているから、私はパーカーの大きなポケットから手を出すことができない。
君の全身を回収する時間が無かったのだけが心残りだ。
「相合傘だね」
胸が高鳴ると同時に気恥ずかしい。でも、その相手が今度は私でよかった。昔から死にそうなくらい君の隣にいるあの子が羨ましかった……君の、少しふやけた冷たい手をぎゅっと握る。
ずっと手を繋ぎたい。そしてそれは可能になった。
君の右手は私の右手を握ったまま硬直しているから、私はパーカーの大きなポケットから手を出すことができない。
君の全身を回収する時間が無かったのだけが心残りだ。
ホラー
公開:25/07/21 11:41
相合傘
夜
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