いいとこどり

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空き地で二匹の猫が語り合っている。
「飼い猫なんていいことないよ。いつも人間のいいなりでおもちゃにされる」
飼い猫歴5年のブチ猫は不満をぶちまけていた。
それを聞く立場の三毛猫は生粋の野良猫である。
「でもさ野良も野良で大変だよ。いつも食べ物にありつけるとは限らないし、雨が降ればずぶ濡れだ」
その話を聞いてブチ猫は不安になった。野良になれば、全てが自由で素晴らしい生活が送れると思っていたからだ。
「飼い猫と野良猫のちょうど真ん中くらいの生活があればなあ」
ブチ猫の話は一見都合が良すぎるが、実は三毛猫には心当たりがあった。
「君の欲求が満たされる場所が一つだけあるよ」
数日後、とある田舎の無人駅にブチ猫はいた。
「すっかりこの駅の看板猫になったよ。ここなら雨露が防げるし、駅を利用する人から食べ物はくれるし、この前は一日駅長として賞状までもらったんだ。まさに飼い猫と野良猫のいいとこどりだね」
公開:25/07/20 17:24

セイロンティー( 鹿児島 )

初めまして。昔から小説を書くのが好きでした。ショートショートの魅力に取り憑かれ、日々ネタ探しに奔走する毎日です。
小説のコンセプトは【ドアノブの静電気くらいの刺激を貴方に】です。
皆様、どうぞ宜しくお願い致します。

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