お狐さまとクリームソーダ
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蝉の声と私の足音。登る石階段の下、母が待つ車のエンジン音が遠く聞こえる。炎天下、クーラーボックスを担ぎながらでも鎮守の杜は涼しい位。
一礼して鳥居をくぐり声をあげる。
「おーい来たよー」
木々を揺らす強い風。
ぎゅっと目を閉じて、三秒待ち、開く。
「おお!チサトか!なんじゃ?また寺子屋を休んだのか」
少女が一人。巫女装束と狐の面。
「違うよ、夏休み。それに、高等学校。もう大人なんだ、私」
「大人は好かん。皆遊ばんからな」
お姉さんだったこの子の背丈を、随分前に抜いた。
「今日は私のとっておき!」
炭酸水とシロップとロックアイスを二つのグラスに注ぐ。バニラとさくらんぼも忘れず添える。
「これまた面妖な!翡翠色じゃな」
「あっちのベンチで一緒に食べよ!」
「食べ終わったよー」車に手を振る。
母は上がってくると辺りを見回す。
「ダメね」と独り言。もう見えないのだ。
私もいつか。だから――
一礼して鳥居をくぐり声をあげる。
「おーい来たよー」
木々を揺らす強い風。
ぎゅっと目を閉じて、三秒待ち、開く。
「おお!チサトか!なんじゃ?また寺子屋を休んだのか」
少女が一人。巫女装束と狐の面。
「違うよ、夏休み。それに、高等学校。もう大人なんだ、私」
「大人は好かん。皆遊ばんからな」
お姉さんだったこの子の背丈を、随分前に抜いた。
「今日は私のとっておき!」
炭酸水とシロップとロックアイスを二つのグラスに注ぐ。バニラとさくらんぼも忘れず添える。
「これまた面妖な!翡翠色じゃな」
「あっちのベンチで一緒に食べよ!」
「食べ終わったよー」車に手を振る。
母は上がってくると辺りを見回す。
「ダメね」と独り言。もう見えないのだ。
私もいつか。だから――
ファンタジー
公開:25/07/24 08:00
更新:25/07/26 11:33
更新:25/07/26 11:33
初心者ですがよろしくお願いします。
心に浮かんだシーンを気ままに描いていきたいです。
同名で NOVEL DAYS でも活動しています。
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