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どんな人の足音でも記憶して、再現できる機能がついた靴が発売された。
使い方は簡単で、コピーしたい足音を出す靴の靴裏と靴裏を合わせるだけ。
需要があるのかと思うかもしれないが、これが以外とあるのだった。
「お父さんだ!」 
ドアの外から聞こえるその足音は、確かに亡くなった父親の足音。
玄関でその音を聞いていた子どもは喜び、妻は懐かしさに涙していた。
扉が開くと、立っていたのはお隣のおじさん。父親と足のサイズが同じだった為、靴音をコピーして追慕にふけったわけだ。
しかし、この靴によって恥をかくことも稀にある。
学校の廊下の踊り場に、好きな人に告白予定の男子がいた。
「付き合ってください!」
男子は背後にその足音が聞こえた瞬間、振り向きざまに言った。
しかし男子は顔が青ざめる。告白の予行練習を友達に頼み、その娘の靴裏を下駄箱で拝借したのに。
「ごめんなさい」
そこにいたのはまさかの本人だった。
ファンタジー
公開:25/07/23 11:59

セイロンティー( 鹿児島 )

初めまして。昔から小説を書くのが好きでした。ショートショートの魅力に取り憑かれ、日々ネタ探しに奔走する毎日です。
小説のコンセプトは【ドアノブの静電気くらいの刺激を貴方に】です。
皆様、どうぞ宜しくお願い致します。

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