2
3
友達じゃなく、赤の他人の年長者から指南されたい――そんな時の『目と鼻の先案内人』だ。
わたしは学校帰りに、おじいちゃん御用達の理容室隣にある案内所に行った。
怪しげな紫色の垂れ幕をくぐって声をかけると、一枚扉の向こうからパーマ液対策用の手袋を付けたサングラスのおばちゃんが現れた。
理容師のコツルギさんに似てるけど、そこは知らないフリをする。
「……さっそくなんですけど、今年の夏、田舎のおばあちゃんのとこに行くかどうか悩んでて……」
「えっ? なんで悩むの?」
「中3で、受験を控えてるんです……」
「会いたいの? 会いたくないの?」
「会いたいです……」
「じゃあ行かなきゃ。そんで励ましてもらいなよ!」
「そう……ですね」
コツルギさんの金色の八重歯を見ていたら、悩みがぜんぶ吹き飛んだ。
「ありがとうございました!」
コツルギさんは、「どういたしまして!」と言い置いて、理容室に戻っていった。
わたしは学校帰りに、おじいちゃん御用達の理容室隣にある案内所に行った。
怪しげな紫色の垂れ幕をくぐって声をかけると、一枚扉の向こうからパーマ液対策用の手袋を付けたサングラスのおばちゃんが現れた。
理容師のコツルギさんに似てるけど、そこは知らないフリをする。
「……さっそくなんですけど、今年の夏、田舎のおばあちゃんのとこに行くかどうか悩んでて……」
「えっ? なんで悩むの?」
「中3で、受験を控えてるんです……」
「会いたいの? 会いたくないの?」
「会いたいです……」
「じゃあ行かなきゃ。そんで励ましてもらいなよ!」
「そう……ですね」
コツルギさんの金色の八重歯を見ていたら、悩みがぜんぶ吹き飛んだ。
「ありがとうございました!」
コツルギさんは、「どういたしまして!」と言い置いて、理容室に戻っていった。
その他
公開:25/07/12 09:30
☆やコメントありがとうございます✨
作品のイラストはibisPaintを使っています。
ログインするとコメントを投稿できます