Tune in to Your Heart

1
2

ラボの椅子に座らされる。普段の定期メンテナンスとは空気感が違っていた。博士はガサゴソと何かを探している。

「私は壊れたのでしょうか?」
「あったあった!」
ほぼ同時、声が重なる。
彼女は真剣な顔を和らげた。
「大丈夫。けど私のプログラムにない挙動が観測できるね」
「その装置は?」
よくぞ聞いてくれた!とばかりだ。
「このダイヤルで君のコアの周波数に合わせるんだ。ラジオみたいでカッコいいだろ」

「ふんふん、実に複雑な音色だ」
「何かわかったのでしょうか?」
思考の間を挟み、言葉が紡がれる。
「まるで君に心があるみたいだ」
そう言われてもピンとこなかった。
「音でわかるのですか?私も博士の心を聴きたいです」
口元に手を当てて考え込んでいる。
「そういう所が想定外……よし!決めた!」
「博士、」言いかけて割り込まれる。
「博士じゃなくて"かなで"。私の名前。ねぇ、君はどんな風に呼ばれたい?」
SF
公開:25/07/11 17:45
更新:25/07/12 00:39

いぬさか( 関東 )

初心者ですがよろしくお願いします。
心に浮かんだシーンを気ままに描いていきたいです。
同名で NOVEL DAYS でも活動しています。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容