希望
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核シェルターの外から、ガラガラガラ、という音が聞こえてきた。分厚い窓から外を見ると、一人のおじいさんがリヤカーを引いて、焼け焦げた木材を拾い集めていた。あんな物、何に使うのだろう。数日後、再び、あのリヤカーの音が聞こえてきた。その音は私たちの核シェルターの前で一瞬止まると、やがて去っていった。分厚い扉を開けると、扉の傍に、焼け焦げた木材で彫られた小さな仏像が一つ、置かれていた。その仏像は、近所のすべての核シェルターの扉の前に置かれていた。私はそれを拾い上げ、窓辺に飾った。どおん。遠くで爆発音が聞こえ、地響きが伝わってきた。仏像が倒れた。私はそれを起こした。希望は、捨ててはいけない。
SF
公開:25/07/14 17:38
短い読み物を書いています。その他の短編→ https://tomokotomariko.hatenablog.com/
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