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 夏祭りに行った。様々な屋台が出ていた。のれんに『即死』と書かれた屋台があった。毒の屋台だ。毒の屋台が出ているということは。私は夜空を見上げた。よく晴れていて、素晴らしい星空が広がっていた。なるほど、こんなに美しい夜空なら、これを見ながら死ぬのも悪くない。私は毒の屋台に向かった。すると、後ろから話しかけられた。「お前、死ぬの?」振り返ると、それはクラスメイトの男子だった。「うん。星が綺麗だから」私は毒を選びながら、答えた。「ふうん」「そうだ、あんたも死ぬ?」「お前と一緒に?」「うん」男子は少し考えて、「お前となら、生きていたいなあ」と答えた。「……」私が何も答えられずにいると、小さな笑い声が聞こえた。見ると、屋台の店主が、にやりとした笑い顔を私に向けていた。
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公開:25/07/13 18:00

六井象

短い読み物を書いています。その他の短編→ https://tomokotomariko.hatenablog.com/

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