標識

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 その小さな路地の入口には、一本の標識が立っている。標識には『笑え』と書かれている。だからその路地に車で入っていった女は、運転しながら、笑い始めた。すると、そこへ、一人の男児が飛び出してきた。女はその男児を車ではねてしまった。女は驚いたが、それでも笑顔を絶やさなかった。標識の命令は絶対なのだ。もちろん、地面に血まみれで横たわる男児の顔も、笑顔だった。
ホラー
公開:25/07/08 19:51

六井象

短い読み物を書いています。その他の短編→ https://tomokotomariko.hatenablog.com/

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