青いバラ
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花束が届いた。かすみ草につつまれた青いバラの花束。窓際のテーブルにおく。すると花の香りが静かに過去の断片を語り出した。
「知ってる?結局、人は青いバラをつくれなかったの」
「じゃ、この青いバラは?」
「偽物かな。そうでなければ…」
あなたがあの後、どう答えたのかが思い出せない。そして青いバラの花束が、再びぼくの目の前にある。夕日がテーブルに窓枠の影を作り、花束に十字架を刻印している。不吉なイメージにもとれたが、ぼくの心はむしろ平穏な気分にあふれていた。つまりは、ここにいないはずあなたが、この世には存在しないはずの青いばらを送ってきたということだ。それは、あなたもあの愛も存在しなかったとも取れるし、あなたはいたけれど、あの愛は存在しなかったとも取れる。だが真実はそのいずれでもなさそうだ。バラの言葉は続く。
「そうでなければ?」
「魂が旅立つ時に見える花」
そして青いばらが霞んで消える。
「知ってる?結局、人は青いバラをつくれなかったの」
「じゃ、この青いバラは?」
「偽物かな。そうでなければ…」
あなたがあの後、どう答えたのかが思い出せない。そして青いバラの花束が、再びぼくの目の前にある。夕日がテーブルに窓枠の影を作り、花束に十字架を刻印している。不吉なイメージにもとれたが、ぼくの心はむしろ平穏な気分にあふれていた。つまりは、ここにいないはずあなたが、この世には存在しないはずの青いばらを送ってきたということだ。それは、あなたもあの愛も存在しなかったとも取れるし、あなたはいたけれど、あの愛は存在しなかったとも取れる。だが真実はそのいずれでもなさそうだ。バラの言葉は続く。
「そうでなければ?」
「魂が旅立つ時に見える花」
そして青いばらが霞んで消える。
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公開:25/07/09 20:20
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