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僕が乗っている電車が急に停まった。車内アナウンスによると、緊急停止ボタンが押されたため、確認しているそうだ。
田舎の私鉄、しかも平日の昼間というのもあって、車内は比較的空いている。なのに、向かい側に座っていたサラリーマンがとつぜん言い争いをはじめた。
お互いへの不満は、聞くにも堪えない悪口合戦へ。そんな時、ふいに端の席に座っていた老婦人が腰をあげ、2人の前に立ちふさがった。
「ちょいと失礼」
そう言いながら男たちの口元に懐紙を押し当てる。不思議なことに、ピタリと貼り付いたその懐紙は、彼らが懸命にもがいても剥がれなかった。
老婦人は高らかに笑った。
「これは悪口フィルター。あなたがたが謝罪しない限り、一生取ることができないよ」
よほど焦ったのだろう、彼らは口々に「すみませんでした!」と叫んだ。
懐紙はその場で黒い煙になり、空気に溶けて消えてしまった。
田舎の私鉄、しかも平日の昼間というのもあって、車内は比較的空いている。なのに、向かい側に座っていたサラリーマンがとつぜん言い争いをはじめた。
お互いへの不満は、聞くにも堪えない悪口合戦へ。そんな時、ふいに端の席に座っていた老婦人が腰をあげ、2人の前に立ちふさがった。
「ちょいと失礼」
そう言いながら男たちの口元に懐紙を押し当てる。不思議なことに、ピタリと貼り付いたその懐紙は、彼らが懸命にもがいても剥がれなかった。
老婦人は高らかに笑った。
「これは悪口フィルター。あなたがたが謝罪しない限り、一生取ることができないよ」
よほど焦ったのだろう、彼らは口々に「すみませんでした!」と叫んだ。
懐紙はその場で黒い煙になり、空気に溶けて消えてしまった。
ファンタジー
公開:25/07/07 16:00
☆やコメントありがとうございます✨
作品のイラストはibisPaintを使っています。
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