0
4
こどものころ、読み終わった本に翼を付与するのが流行っていた。
やり方はとっても簡単。
新月の夜、最後まで読ませてくれた感謝の気持ちを込めて、「次の人のところへどうぞ」と伝えればいい。
そうすると本は見えない翼を授かり、羽ばたいてゆくのだ。
旅にでた本がどんなひとのところへ届くのかはわからない。
だからいつも、私の心を癒してくれた本の明るい未来を、いっしょうけんめい願っていた。
するとこのあいだ、うれしいことが起きた。
三十年前に手放した本が、私のもとへ帰ってきてくれたのだ。
ボロボロになっていても、裏表紙にこっそり書いたサインですぐにわかった。
ほかの仕事はぜんぶほったらかして、本を読むのに時間を費やした。
ちゃんと、昔のように面白かった。
もう魔法は使えなくて飛ばせてあげられないけど、今は私の本棚で、ふたたびページが開かれる時を待っている。
やり方はとっても簡単。
新月の夜、最後まで読ませてくれた感謝の気持ちを込めて、「次の人のところへどうぞ」と伝えればいい。
そうすると本は見えない翼を授かり、羽ばたいてゆくのだ。
旅にでた本がどんなひとのところへ届くのかはわからない。
だからいつも、私の心を癒してくれた本の明るい未来を、いっしょうけんめい願っていた。
するとこのあいだ、うれしいことが起きた。
三十年前に手放した本が、私のもとへ帰ってきてくれたのだ。
ボロボロになっていても、裏表紙にこっそり書いたサインですぐにわかった。
ほかの仕事はぜんぶほったらかして、本を読むのに時間を費やした。
ちゃんと、昔のように面白かった。
もう魔法は使えなくて飛ばせてあげられないけど、今は私の本棚で、ふたたびページが開かれる時を待っている。
ファンタジー
公開:25/07/06 13:17
☆やコメントありがとうございます✨
作品のイラストはibisPaintを使っています。
コメントはありません
ログインするとコメントを投稿できます