ある日の木枯し紋次郎

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「紋次郎さん、うちの組の用心棒として、手を貸してくんねえか。お礼ははずむぜ」
「あっしには関わりのねえことでござんす」
(おっ。紋次郎の決め台詞が出た。ニヒルな主人公、かっこいいなあ)

「紋次郎さん、やくざに娘が連れて行かれたんです。どうかお助け下さい」
「あっしには関わりのねえことでござんす」
(弱い者の味方をして正義漢ぶることもない。そんなクールな所もいいんだよなあ)

「紋次郎さん、猫のタマが逃げ出しちゃったの。探してくれないかしら」
「あっしには関わりのねえことでござんす」
(猫が逃げても助けない。さすが紋次郎?)

「紋次郎さん、今日の晩飯、ぶり大根なんですが、一緒にどうです」
「あっしには関わりのねえことでござんす」
(食事の誘いも断る孤高の男。さすがって、みんな紋次郎の決め台詞聞くために無意味な依頼してない?)

ー紋次郎は夕焼けを背に去っていった。
(オチはないのかよ!)
その他
公開:25/07/03 16:24

ナラネコ

老後の楽しみに、短いものを時々書いています。

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