レアな卒業式

0
2

「泣くな」
「でもよぅ、でもよぅ」
 卒業式の、よくある風景のはずだった。
 在校生は涙を流し、卒業生を見送る。

 卒業生と教師は、在校生を異様なものを見る目で見ていた。

「まあ、2年かかったしな」

『在校生による祝辞』

「先輩として、学校のことを教えた日が、昨日のことのように思い出します。それから一年が過ぎ、同級生になりました。先輩と嫌厭することなく、接してくれたことを感謝します。そして更に一年が過ぎ、我々が残り、あなたたちが卒業する……。感無量です」

 年上の在校生。
 それはなかなか見られない光景だった。

 在校生は、目標を達成したことで卒業に向かうのがセオリーだ。
 しかし、今やもう一年やろうかどうか迷っていた。
公開:25/07/02 19:44
更新:25/07/02 19:45

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容