顔

俺は誰もが知るスーパーアイドル。ネットを開けば俺の顔を見ない日はない。
外に出れば俺の写真がプリントされた商品が並び、俺は嫌でも毎日写真の俺と目が合ってしまう。
さらに最近では推しと同じ顔になる推し整形が流行っており、いたるところで俺と同じ顔の奴を見る。
この前のライブなんて客もスタッフも全員俺と同じ顔をしていた。気が狂いそうになった。
ライブが終わると俺は急いで会場を後にした。そして道路に出たところを車にはねられた。
すぐに病院に担ぎ込まれた俺。命は助かったが顔に深い傷を負った。アイドルとしての復帰はもう無理だと言われた。
マネージャーが見舞いに来る。
「紹介するわね。ダンスの貴方。トークの貴方。スポーツの貴方。勉強の貴方…」
狭い病室に次々と俺が入ってくる。
「以上１０８名。今日から貴方の代わりに、貴方の顔役としてアイドルをしてくれる子たちよ」
俺に囲まれる俺。今度こそ俺は気が狂った。