奉仕
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朝の通勤時、いつもの道を歩いていると、道に硬貨が落ちていた。ラッキー。拾い上げて、ポケットに入れた。翌朝も、同じ場所に、同じ金額の硬貨が落ちていた。ラッキー。ポケットに入れた。それから一週間ぐらい、毎日同じことが続いた。さすがにおかしいと思い、ある朝、同じ道を通る前に、物陰に隠れて様子をうかがっていた。すると、一人の少年が現れて、がま口の財布の中から硬貨を取り出し、地面に置いて、ため息をついて走り去っていった。俺はその朝、硬貨を拾わなかった。その日の夕方、職場のスーパーマーケットの事務所で仕事をしていると、店長が、今朝の少年を連れて、部屋に入ってきた。俺が驚いていると、店長は、「万引き」と、その少年を指さして、つぶやいた。
その他
公開:25/06/29 17:50
短い読み物を書いています。その他の短編→ https://tomokotomariko.hatenablog.com/
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