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「マルシェ。やっとまた会えそうだ」
 リーフはそう言って、無残な姿になった故郷の岬に足を踏み入れた。しばらく歩き、ポツンと佇む井戸に優しく触れた。「豆の井戸」と彫られており、中には色んな豆が蓄えられている。
「ちょっとお前さん。ここは人魚以外立ち入り禁止じゃよ。といっても、1年前の人魚密漁事件で今はわし一人じゃがな」
「じゃあ、問題ないな。ギャクじいさん」
「むう、なんと。おぬし、まさか」
 リーフは、ポケットから変身解除薬を取り出し、井戸の中に投げた。
「おはよう。マルシェ」
「マルシェじゃと」
 驚くじいさんをよそ目に井戸はまばゆい光を放ち、美しい人魚に姿を変えた。
「リーフ、遅いじゃないの」
「豆の井戸になられたんじゃ普通気付けないよ」
 二人は抱き合った。
「あの日、身を守るために私とっさに変身したの。あのギャクのおかげよ」
 じいさんが泣いて叫ぶ。
「豆の井戸からマーメイド」
ファンタジー
公開:25/06/29 12:17
更新:25/06/30 12:58

キャベツロール

入院中の暇つぶしに始めました。
物語が好きです。
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