叱られた冷蔵庫

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「お弁当、勝手に食べたでしょ!? ったく、卑しいったらありゃしない」
 ふくよかな女性が、冷蔵庫に向かって怒っていた。

「ここに入れていたら、いつもなくなってる!」
 女性のトーンが上がる。
「あなたに怒る権利があるとでも? 見当違いも甚だしい」

 冷蔵庫は沈黙していた。
 時折ブオーンと、ファンが回る時以外は。

「もうここには入れないわ。いい気味ね」

 冷蔵庫には鏡が貼られていた。
 鏡に映った女性は涙目で、どこか寂しそうな顔をしていた。
公開:25/06/28 19:26

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