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休み時間になった途端、騒がしくなる教室が苦手だった。ひとりになりたいと、切実に願うようになったのはいつからだろう。話しかけてくるともだちの声をあいまいに遮り、わたしはどこか静かなところがないかと校舎を歩き回る。だけど別館にある図書室でさえいつも人がたくさんいて、話し声と笑い声であふれていた。時間は有限で、結局教室に戻るしかなく、そういう時わたしはいつも空虚な気持ちを抱きながら、廊下を歩いていくのだった。
ひとりになりたい――一見して簡単そうなことなのに、こんなにも難しいことだなんて。ため息を落としながら次の授業で使う教科書の準備をする。それから目を閉じて声という声をシャットアウトし、ほんの一分だけ周囲を海に囲まれた孤島へ旅立つ。暑くも寒くもない気候のなかで昼寝や読書をして、ささくれた心のリセットをする。
もし誰かに聞かれたらおすすめしたい、ひとりになる方法。
青春
公開:25/06/21 11:08

いちいおと( japan )

☆やコメントありがとうございます✨

作品のイラストはibisPaintを使っています。

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