落としましたよ

落としましたよ。と、告げると女性は安堵の表情を浮かべた。
この女性は子どもの霊に憑りつかれていた。
珍しい話ではない。子どもの霊は母性に惹かれやすい。男性より女性の方が子どもの霊に憑りつかれやすいのは仕方のない事である。
大丈夫。安心して。子どもの霊は話せばわかってくれる。この子だって、女性を困らせたくて憑りついたわけじゃない。だから、どうか恨まないでやって欲しい。
女性の背中を見送る。
さて…次は君を落とす番だ。私はこれから、この子を地獄へと落とす。
おっと、勘違いしないでほしい。私はこの子に罰を与えたくて地獄に落とそうとしているわけじゃない。
この子には地獄で無邪鬼という名の鬼になってもらう。
住めば都。地獄もそんなに悪いところではない。
地獄で同年代の子どもたちと遊び、その身体についた邪気を払い落すんだ。
邪気が完全に無くなり、きれいな魂になったら、またこの世界に生れ落ちておいで。