デビュー作

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 夜、テレビで天気予報が流れていた。「明日は雷……」ふうん、雷か。「なお、明日の雷はデビュー作になります……」ふうん、デビュー作ねえ。次の日の夕方頃、雷が鳴り出した。どことなくたどたどしい。雷光も貧弱だ。しかし、デビューで暗い気持ちにさせるのもかわいそうだ。私は家のブレーカーを落とした。「あなたの雷のせいで停電になりましたよ」と言わんばかりに。すると、どの家でも同じことを考えていたみたいで、街じゅうが真っ暗になった。ゴロゴロゴロっ。雷の音が嬉しそうな音に変わった。
ファンタジー
公開:25/06/20 17:51

六井象

短い読み物を書いています。その他の短編→ https://tomokotomariko.hatenablog.com/

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