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家に帰ると、玄関にジッパーがついていた。見間違いかと思い、いったん寝たふりをしてからたしかめたが、やはりジッパーがあった。しかたないので、妻に電話をかけた。
「最近へんな人が訪問してくるから、リフォームしたのよ」
「普通に開けていいの?」
「残念だけど外から開かないの。ちょっと待ってて」
ジー、ジジーッ。不器用にジッパーを扱う音は数分つづき、人ひとりがやっと通れるほど開くと、なかから妻が顔だけ出した。
「おかえりなさい」
「あ、ああ……、ただいま……」
驚いて心臓が止まるかと思ったとは言えず、無言で家に入る。
屋内は扉だけじゃなく壁やタンスにもジッパーが施されていた。用心するにも程度があるし、さすがにやり過ぎだ――そう苦言を呈するつもりが、のど元で留まった。
「どうかした? あなた」
妻の背中につけられたジッパーが、キッチンの照明に照らされ、異様な光を放っていた。
「最近へんな人が訪問してくるから、リフォームしたのよ」
「普通に開けていいの?」
「残念だけど外から開かないの。ちょっと待ってて」
ジー、ジジーッ。不器用にジッパーを扱う音は数分つづき、人ひとりがやっと通れるほど開くと、なかから妻が顔だけ出した。
「おかえりなさい」
「あ、ああ……、ただいま……」
驚いて心臓が止まるかと思ったとは言えず、無言で家に入る。
屋内は扉だけじゃなく壁やタンスにもジッパーが施されていた。用心するにも程度があるし、さすがにやり過ぎだ――そう苦言を呈するつもりが、のど元で留まった。
「どうかした? あなた」
妻の背中につけられたジッパーが、キッチンの照明に照らされ、異様な光を放っていた。
ホラー
公開:25/06/22 07:44
☆やコメントありがとうございます✨
作品のイラストはibisPaintを使っています。
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