安心

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 電車に乗っていた。車内アナウンスが流れた。「間もなく……駅に到着いたします……」車内アナウンスは続けた。「近頃……生首のお忘れ物が増えております……」電車が減速し始めた。「どなた様も……お忘れ物にご注意ください……」目の前に座っているおじさんのカバンから、髪の毛のようなものがはみ出ていることに気づいた。「生首は……臭いますので……」おじさんはしっかりとカバンを抱きしめていた。そのカバンはちょうど人間の頭が入るくらいの大きさだった。実際あのカバンに生首が入っているかはわからないが、入っていたとしても、このおじさんなら忘れないだろう。電車がとまった。俺は安心して駅に降りた。
ホラー
公開:25/06/21 17:28

六井象

短い読み物を書いています。その他の短編→ https://tomokotomariko.hatenablog.com/

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