クッキー当番

私の学校にはクッキー当番がある。夕方、帰宅する前に、お皿に乗せたクッキーを窓辺に置いておくと、翌日には教室の隅々まできれいに磨かれているのだ。先生いわく、クッキーは妖精が回収し、そのお礼に掃除してくれるらしい。

「妖精なんて絶対嘘だよね！」と息巻いているのは、ちょっとお高くとまったお嬢様の女の子。「うちだとお手伝いさんがぜんぶやってくれるんだから。きっとここもお掃除おばさんがやってくれてるのよ！」

みんななんとなく困ったように笑っていたけど、真相を確かめる勇気はない。なぜって、万が一にでも妖精の仕事を見てしまったら、呪われてしまうという噂だから。

だけど私は知っている。学校単位で委託契約したシルバー人材センターから派遣された老人たちが掃除していることを。

「ユイちゃん、これもらったやつだけどどうぞ」

同居してるおじいちゃんがお裾分けしてくれるクッキーは、私の楽しみのひとつだ。