文字を紡ぐ

私は本を読む時、視野が極端に狭くなる。
普通の人には”おはよう”と書かれた言葉も、私にとっては”お　は　よ　う”と、一つ一つの単語に見えてしまう。
だから私は本を読むのが遅い。だから朗読が嫌い。
どんなに頑張っても、壊れたロボットみたくなってしまう。熟語もバラバラにしてしまう為、読み間違いも多い。
馬鹿にされる。からかわれる。大好きな読書も嫌いになりかけていた。

「君は言葉ではなく、文字一つ一つを大切にしているんだね」

その一言が私を救った。
「僕は好きだよ。君の朗読」
その人だけは私の朗読を笑わなかった。私の声に、真剣に耳を傾けてくれた。
ただ一度だけ、クスッと笑われた。
「ごめん。ちょっとドリカムの未来予想図Ⅱを思い出してさ」
私もクスッと笑った。
ア　イ　シ　テ　ル。
あの歌のように私はずっと、この人に変わらぬ思いを抱き続けるだろう。
これからも一文字一文字、大切に紡いでいこう。