夢の注文住宅

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Aさんの夢は、夜空を見上げながらお風呂に入ること。
それが毎日となれば、最高だった。

夢を叶えるべく、Aさんは注文住宅を選んだ。
それしか選択肢はなかったのだ。
「3階建てで、屋上にお風呂をつけたいんです」

土地は田舎の方に求めた。
高くついたが、それ以上に満足がいく買い物だった。
周りにも住宅が出来るようだが、3階建の、しかも屋上にお風呂があるのは、うちだけだろう。

しばらくして、周りの土地の工事が始まった。
足場が組まれだして、Aさんは顔を青ざめさせた。
Aさんの家の周りに、自分の家より高い足場が続々と組まれ出したのだ。

お風呂で、夜空は見られるだろう。
それ以上に、見られることになるが。
その他
公開:25/06/14 19:07
皮肉屋さんの小噺

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