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とある街の教会の塔に、古い大きな鐘があった。
その鐘は大人がすっぽり入れるほど大きく、毎日決まって、朝、正午、夕方の3回、塔の下から綱を引くことで鳴らされ、甲高く澄んだ音が街に響き渡った。

その鐘には古い言い伝えがあった。
鐘が鳴り響く時に、塔の下で愛の告白をすれば、恋が成就するというのだ。

ある日の夕方、鐘の音が響く中、一人の少女が少年に愛の告白をした。

だが、少年は少女の告白を受け入れなかった。
少年には恋人がいたのだ。

少女の恋は成就しなかった。

それ以来、少女と少年は街から姿を消した。

そして翌朝から、鐘の音は低く濁った。

まるで、鐘の中に何かが詰まっているかのように。
ホラー
公開:25/06/14 13:46
更新:25/06/14 16:01

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