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お隣さんはアイドルだったらしい。白いまゆ毛が目元まで及んでいるし、しばしば入れ歯を忘れモゴモゴしているからどうも腑に落ちないけど、おじいちゃんを促してわざわざ隣に家を買うほどおばあちゃんがファンだったというのだから驚きだ。
「さだポンはねぇ、そりゃあもうこの世の者とは思えないくらい麗しい殿方だったのよぉ。特に目が……こう、あれ、ねぇ?」
推しの話になると急に語彙力が失速するのは今も昔も同じであるようだ。わたしにも好きなアイドルがいるからよくわかる。
「あら? 今、さだポンの声が玄関から聞こえたわ」
好き過ぎてついに空耳をキャッチしたのかと思いきや、入れ歯を忘れたさだポンが回覧板を持ってきていた。床屋で手入れしてもらったらしく、チワワのようにつぶらな目があらわになっている。
「キャー!! その瞳、助かる〜!!」
おばあちゃんが若者のように叫ぶと、さだポンは恥ずかしそうにうつむいた。
「さだポンはねぇ、そりゃあもうこの世の者とは思えないくらい麗しい殿方だったのよぉ。特に目が……こう、あれ、ねぇ?」
推しの話になると急に語彙力が失速するのは今も昔も同じであるようだ。わたしにも好きなアイドルがいるからよくわかる。
「あら? 今、さだポンの声が玄関から聞こえたわ」
好き過ぎてついに空耳をキャッチしたのかと思いきや、入れ歯を忘れたさだポンが回覧板を持ってきていた。床屋で手入れしてもらったらしく、チワワのようにつぶらな目があらわになっている。
「キャー!! その瞳、助かる〜!!」
おばあちゃんが若者のように叫ぶと、さだポンは恥ずかしそうにうつむいた。
その他
公開:25/06/15 14:57
更新:25/06/15 15:00
更新:25/06/15 15:00
☆やコメントありがとうございます✨
作品のイラストはibisPaintを使っています。
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