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「風の噂で隣町のやつはだいぶ落ちたって聞いたんだよなぁ。眼鏡にすると曇りやすくなるっていうし…」

空を流れの速い雲がいくつも横切る。

「あ、検査前にあまり雲で強く擦らない方が」

上を見上げて私が軽く注意すると「おっと、いけねぇ!」とばかりに慌てて雲が消えて青空が透き通った。

「では空さん、こちらで片目を隠してください」

私の隣に並ぶ鏡面を取り外した消毒済のカーブミラーを掴むようしてつむじ風が起こり空へ舞い上がると「準備できました」という緊張気味の声が降ってきた。

「地上を光で射し示していきますので、そこにあるものを順に答えてください」

ピカ、ピカ、ピカ

「公園、電車、雀」

「…では反対側」

ピカ、ピカ、ピカ

「学校、バス、蟻」

「…はい、ありがとうございます。視力、前回とお変わりないようですね」

元の場所へ丁寧にカーブミラーが戻されると、検査結果に空が煌めいた。
その他
公開:25/06/16 20:00
更新:25/06/15 19:43
空の視力検査 今日のカーブミラー 予約投稿

花笑みの旅人( 気の向くまま )

ページを開いてくださったあなたに感謝です(⁠◍⁠•⁠ᴗ⁠•⁠◍⁠)/

7月は時々投稿するかもですが夏休み継続中。お酒、温泉たまご、冷奴、枝豆、アイスあたりが最近の生きる希望ですねぇ

※更新されると消えてしまう感じを私は好んでいたのかもしれないと気づいたので、基本的にラジオ関連の作品は今後公開しないと思います〜

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