迷子師

迷子師。それは人の人生を狂わせる、傍迷惑な奴だ。

ある人は迷子師と出会い、優秀な両親が描いた、完璧な人生のロードマップから外れた。
迷子になったその人は、両親の描いた人生がいかにつまらないものかを知った。
未知を知り、自分自身で道を切り開くため、歩き始めた。

ある人は病気によって余命宣告を受けていた。だが迷子師と出会い、その人が抱える病気が迷子になってしまった事で進行が止まった。
迷子になった病気は出口を求め、その人の体から出ていった。
治ると思っていなかった病気。だから未来なんて何も考えていなかった。
これからどうしたらいいんだ…嬉しい反面、その人は人生の迷子になってしまった。

迷子師と出会うと、人は必ず迷子になってしまう。
現に私はこの話のオチを見失い、迷子になっている。
面白い話になると思っていたのにとんだ誤算だ。

迷子師は今日も誰かを迷わすべく、どこかをさ迷っているだろう。