落としましたよ

彼女が望まぬ結婚をさせられると聞き、俺達は駆け落ちを決めた。
だがそれは彼女の親も想定していた。彼女を逃がす事は出来たが俺は捕まってしまった。
「娘をどこへやった！？」
暴力と共に浴びせられる言葉にしらを切り続ける俺。
業を煮やした彼女の両親。巷で話題の名探偵とやらを呼んだ。
ヤバい…これでは見つかるのも時間の問題だ…
と、思っていたがその探偵。彼女が消えたのは神隠しにあったからだと言い出した。
そんなわけないだろうと怒鳴る彼女の両親に、神隠しの証拠を次々と示す探偵。その説得力に誰もが舌を巻く。
同時に詐欺師の如く俺が犯人である証拠をもみ消していく。
気が付けば俺は解放されていた。

「私は名探偵であり迷探偵でもある。言葉巧みに相手を言いくるめるのは、めい探偵の専売特許ですよ」
そう語る探偵は事の顛末を駆け落ちが成功した俺と彼女に教えてくれた。
「これにてこの事件、迷宮へと落としましたよ」