流 "蛍" 群

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「蛍、見たことあるか?」
「そりゃ……あれ?実物はないかも」
1学期中間試験が終わり、部活へ向かう前のガヤガヤした短い時間。
「隣町で見れるらしい。明日お前の家までいくわ」
幼馴染のケイタはそれだけ言うと、さっさと教室を出てしまった。

日没近い空の下、自転車を並走させる。
「俺じゃなくて雪野さん誘えよ」
ケイタには中1の冬から付き合ってる彼女がいる。その方が適任な気がした。
「そういうのよくわかんねぇし、コータの方が気楽」

森林公園には結構人がいて、屋台も出てお祭りみたいだ。看板と人の流れに従って歩く。あの会話から何となく口数が減っていた。

「あ、蛍!」誰かの言葉にふと顔をあげる。
幾つもの光がついたり消えたり。小さくても輝きは強く、アニメでみた流星群のようだった。
「すげぇな」思わず口にする。
「な!来てよかっただろ!」得意げな声。
親友の隣、この場いま一瞬の星座を瞳に焼き付ける。
青春
公開:25/06/09 05:42
更新:25/06/09 20:11

いぬさか( 関東 )

初心者ですがよろしくお願いします。
心に浮かんだシーンを気ままに描いていきたいです。
同名で NOVEL DAYS でも活動しています。

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