歌と雨

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愛子は言う。「あんたは歌っていればいい。」

真は言う。「歌わないと俺は駄目だ。」

真はとにかく唄う。
暇さえあれば、唄う。
ただ、唯一、彼自身が誇れるものだから。

歌で愛を伝えたいから、言葉に魂が乗る。

愛子は言う。「雨は嫌い。」

真は言う。「雨が降っても俺は唄う。」

真はとにかく唄う。
雨が降っても、雪が降っても、地震が起きても、とにかく唄う。

本当に大好きなことは、どんなことが起きようとやりたいものだ。

だから、真はいつも、唄う。

そして、ふと思う。

人に優しくなれない時は、唄うことをやめた時だと。

たとえ豪雨だあろうとも、歌い続け、人にやさしくあれ。
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公開:25/06/09 17:32

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