長雨の理由
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ビニール傘の向こうは鈍色。
雨も降らなきゃ困るが毎日だと気も滅入る。梅雨は苦手だ。
「…なるほど、仲良しの烏が最近顔を見せないのか…心配だな」
ノロノロ歩いていると、カーブミラーの隣で何か話している茜色のレインコートの人がいた。
「今年の夏はここで一緒に花火を?素敵な約束だな!」
よく見るとレインコートさんと会話するようにカーブミラーが明滅している。
「…なら、笑ってごらん」
明滅が止まる。
「…笑える気分じゃないかもしれない、でも君が笑えば待ち人…いや、待ち烏はきっとくる。この空模様じゃ、ここへ飛んでこられないんだ。だから笑って。だって…」
レインコートさんは曇天を見上げる。
「空は君の表情を真似るんだから」
一瞬の間の後、カーブミラーが涙をこらえて笑うように光った。
雨が止む。
空が明るくなっていく。
水色に光り出した空を全速力で突っ切って、烏が一羽飛んできた。
雨も降らなきゃ困るが毎日だと気も滅入る。梅雨は苦手だ。
「…なるほど、仲良しの烏が最近顔を見せないのか…心配だな」
ノロノロ歩いていると、カーブミラーの隣で何か話している茜色のレインコートの人がいた。
「今年の夏はここで一緒に花火を?素敵な約束だな!」
よく見るとレインコートさんと会話するようにカーブミラーが明滅している。
「…なら、笑ってごらん」
明滅が止まる。
「…笑える気分じゃないかもしれない、でも君が笑えば待ち人…いや、待ち烏はきっとくる。この空模様じゃ、ここへ飛んでこられないんだ。だから笑って。だって…」
レインコートさんは曇天を見上げる。
「空は君の表情を真似るんだから」
一瞬の間の後、カーブミラーが涙をこらえて笑うように光った。
雨が止む。
空が明るくなっていく。
水色に光り出した空を全速力で突っ切って、烏が一羽飛んできた。
ファンタジー
公開:25/06/05 11:00
更新:25/08/12 13:43
更新:25/08/12 13:43
ありがとうございました(◍•ᴗ•◍)/”
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