街灯の下で

夜に光を灯すものの中で街灯が一番好きなんだ。

どうして？

街灯があるってことは、ここにもっと光が欲しいと願った誰かがいて、その声が届いたんだと思うからさ。まぁ…実際のところは、単に安全性を考えて設置されただけなのかもしれないけれどね。
人工的で冷めた光だと言う人もいるが、光の届かぬ場所に誰かが自分たちの手で光を生み出したと考えれば温もりも感じる。
一本一本の違いをさして誰も気にとめないだろうし、その光をいちいち意識するような者も少ないだろうが、孤独な夜道を行く者と点々と並び歩き、たしかに心に灯りを灯してくれる友人だと思っているから私は好きなんだ。

僕たちも街灯さん大好き！夜の間、いつも皆で一緒に踊るんだ♪

それはいいね。
…今日は気分がいいから、私も踊ってみようかな？

ユスリカのじゃれつく街灯の下、青嵐を纏った旅人が珍妙な踊りを始めると街路樹が一斉に笑った。

今夜は賑やかだな。