常用外の二人

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正は地味だけど帽子を被ると化ける。
「敕」を被れば清楚なインテリ系に。「不」に替えると前衛的な印象に。「疒」にすれば地雷系に様変わり。
整理整頓、歪曲、重症…。彼はこの界隈で人気のモデルだ。
一方、私は帽子が似合わない。「茪」や「䨔」になってみるけど、違和感があって誰とも組むことができない。

あーあ。これじゃ、お洒落して正と遊びに行けないな。

とある日曜日。正は「囗」という顔の部分が開いた着ぐるみを持って来た。彼はその中に躊躇なく飛び込んで「囸」に変身した。
「正、それはダサすぎるわ!」
「たまにはいいだろ。ほら、光の分だ。お洒落は楽しんだ者勝ちだぞ!」
私も彼の奨めるままに「㘢」になってみた。
「ナニコレ。変な目で見られるじゃない」
「大丈夫、俺とお揃いだ。それに…これならお前に言い寄ってくる輩もいないだろ」
私は羞恥と嬉しさで文字通り顔が赤く照った。
「…それはこっちの台詞よ」
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公開:25/06/01 22:19

紅石紗良( 北陸 )

思いついたアイデアの備忘録を兼ねて書いています。よろしくお願いします!
Talesで連作を執筆中です。鉱物や宝石にご興味がありましたらぜひご覧いただければと思います。
https://tales.note.com/creche_collage/wmnx0phfegkgm

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