虹
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俺以外乗客のいないバスの隅の席で、うとうとしていたら、車内アナウンスが流れた。「あ、虹」そう言っていた。目をこすって窓の外を見ると、いつの間にかさっきまでの雨が止んでいて、空に大きな虹がかかっていた。その時、ミラー越しに運転手と目が合った。「すみません、誰もいないと思って……」運転手は慌てて言った。俺は、苦笑いしながら、降りる予定の一つ前の停留所で降車ボタンを押した。ちょっと歩いて帰ろうと思ったのだ。
青春
公開:25/06/01 17:59
短い読み物を書いています。その他の短編→ https://tomokotomariko.hatenablog.com/
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