ハエ

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 子どもの頃、家で一人で留守番をしていたある日、縁側で、死体ごっこをしていた。なるべくまばたきをしないように目を見開いて、死体っぽく横たわっていた。すると、そこへ一匹の大きなハエが現れた。僕の死体っぷりもまんざらでもないらしい。そうほくそ笑んでいたら、玄関から、母親が帰ってきた音がした。その瞬間、ハエがどたばたと音を立てて、去っていった。起き上がってよく目をこらすと、それはハエではなく、知らないおじさんだった。大人になった今でも、なぜあのおじさんをハエだと思ったのか、さっぱりわからない。
ホラー
公開:25/06/03 17:32

六井象

短い読み物を書いています。その他の短編→ https://tomokotomariko.hatenablog.com/

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